2016 STANCE ISA WORLD ADAPTIVE SURFING CHAMPIONSHIP
12/8~12/11、南カリフォルニアのラホヤにて、世界最高峰のアダプティブサーフィン世界選手権(障がい者サーフィン世界選手権)「STANCE ISA WORLD ADAPTIVE SURFING CHAMPIONSHIP」が開催されました。日本人チームは2名が参加し世界に挑みました。
開会式セレモニー
小林征郁
伊藤建史郎
この世界大会は、昨年に続いて2回目になるのですが、日本チームの参加は今年が初めてになります。参加国は22ヶ国、参加選手は76名との事で、昨年よりも4つの国が新たに参加し、選手も約10名位増えているそうです。自分も障害者のサーフィンの大会が初めてで、どんな物かという所からでしたが、所謂、サーフィン先進国といわれている、オーストラリア、アメリカ、ハワイ等では、もう10年以上行っているようで、クリニックやスクールを合わせた大会内容で、充実した大会を行っているとの事でした。
12月7日は、チームチェックインとシンポジウムが行われました。そのシンポジウムでは、障害者サーフィンの活動を行っている団体、各国の連盟の人の現状等の話や、パラリンピックに向けての事など色々話し合われ、参加国の障害者サーフィンに対する熱い思いを、十分に感じ取る事が出来ました。
12月8日は、午前中にマネージャーミーティング、午後パレードが行われました。マネージャーミーティングでは、一番大切(難しい)なルール、ジャッジ基準等に時間がさかれ、各国、活発に質問を繰り返していました。そしてパレード、開会式は、テレビ局も来て、非常に盛り上がり、選手達の士気も上がっていったと思います。
12月9日、Day1がスタート。この大会は、障害の程度によって6つのディビジョンが設けられ、日本チームの、伊藤選手はSA1に、そして小林選手は、SA2に出場しました。SA1、SA2は両足及び膝立ちが出来るディビジョンで、障害の程度が軽い方になり、ジャッジ基準も健常者の大会と同じ様に行われました。そして今大会は、どのクラスも選手が2回のラウンドをこなし、それぞれの選手のベスト2スコアーでランキングを決め、SA!はトップ16、SA2はトップ12がQFに進む事になっていました。波が小さく、昼の潮が大きく引いた時のヒートになった二人は、小林選手が、技が入る波に乗れず2点台2本で終了。対称的に伊藤選手は、良いコンディションとは言えない中、グッドライディングを出し、Day1でのランキング、4位で終了しました。
12月10日、Day2。波は昨日よりサイズアップし、1~3fと絶好なコンディション。それぞれQFを目指しての大事な2回目のラウンド、小林選手は、昨日の反省から、良い波をしっかり選び、中盤に切れた波を掴み、5点代を出し、ランキング9位でQFに進みました。伊藤選手は、前半からリズムよく波に乗り、終盤ライトの波を深いボトムターンからのワンターンで5点代を出し、ベストスコアーをのばし、ランキング4位でQFに進みました。そして午後SA2のQFが行われ。小林選手がH3に登場しました。パドルアウトや波待ちのポジションに泣かされ、ライディングが単調になって、ほかの選手にリードをゆるします。ヒートの終了間際にライトの良い波を掴むも、惜しくも点がのびず、このヒート3位で敗退となり、7位の順位となりました。大会は経験していて、もっと上位を狙っていた小林選手ですが、この経験がまた新しい第一歩になったと思います。いつも笑顔の彼は、他の国の選手達に多いにリスペクトされていました。
12月11日、Day3、最終日。昨日より少しサイズダウンですが、セットの波はライト、レフトとも良い波が来ていました。そして大会は親善ムードから、コンテストモードに。伊藤選手は、QF、SF、Finalと勝ち上がれば、3回のヒートをやらなければならず、タフな1日となります。そのQF、SFでは、良いリズムで良い波に乗れ、前半からリードし、危なげなく勝ち上がりFinalに駒を進めました。SFの中盤、波に乗れず焦りが見えましたが、ヒートに臨む気持ちはぶれず、最後のFinalに向かいました。Finalは順当にランキングのベスト4が残り、激しいヒートになりました。伊藤選手は、初めてのISAの大会、そしてFinalという事で緊張からかリズムが合わず、良い波を掴めないままヒートが終了してしまいました。自分自身もFinalが一番リズムが合わず、悪いヒートになってしまったと反省していました。優勝した南アの選手は、健常者のサーフィンと変わらない実力で、彼を倒すのは、相当なレベルアップが必要だと伊藤選手も言っていました。しかし、初めてのISAの大会でFinalをメイクして、メダルを獲得した伊藤選手は、大会に対する姿勢も素晴らしく、常に前を向いて考える事が出来、来年も期待出来る存在だと思います。最後の閉会式では、日曜という事もあり、沢山の人が訪れ、表彰者を讃えていましたが、今年亡くなったサムという障害者の子供の話には皆涙していました。因みに、Day1から国別を争っていたアメリカとブラジルは、ブラジルに軍配があがりました。
ISAのこの大会は2回目で、日本はその2回目で選手を派遣でき、またメダルを持ち帰るという快挙を成し遂げました。日本に何人位の障害者サーファーがいるのかはわかりませんが、ISAがこのアダプティブサーフィンをやっていくならば、NSAも、少しでもこれからの発展に繋がる活動を手助けしていかなければならないと思います。大会前のシンポジウムでも話されていましたが、アダプティブサーフィンの周知が、一番大きなことで、キャンプ、スクール等でサーフィン人口を増やしたり、子供向けのプログラムを作ったり、コーチによる指導をしたり、連盟がその活動の後ろ盾にならなくてはいけないと思いました。そして、競技という部分で、この世界大会を大きな目標として、大会を国内でもやっていくことが必要になってくると思います。各国の選手の目指すものは、やはりオリンピアで、サーフィンがオリンピックになった以上、アダプティブサーフィンにおいては、パラリンピックが大きな目標になりました。アダプティブサーフィンに一番大切なものはしっかりとしたボランティアがいる事だそうです。そうゆう体制を構築するのは、今の現状からいってとても大変な事だと思いますが、少しづつでもやっていける事をみつけ、前に進まないといけないと感じました。今回、初めてこの大会に参加させて頂いて、少しでもアダプティブサーフィンの事がわかる事ができ、大変嬉しく思いました。大会に出場した伊藤選手、小林選手は早くも来年に向けてのスタートをきっています。彼ら二人が日本のアダプティブサーフィンの核になっていく存在だと思います。一緒に参加出来た事を本当に感謝しています。来年は、今年よりいろんな面で少しでもアダプティブサーフィンが、前進している事を願っています。
最後になりますが、アシストしてくれたサカモト様、同じくアシストをしてくれ来年は出場を狙っている小嶋様、選手の体のケアをして頂いた島様、通訳の手伝いや熱い応援をしていただいた地元の日本人の方々、そしてサポートをしてくれたNSA事務局、応援して頂いた日本の方々に感謝を致します。ありがとうございました。アダプティブサーファー達の活躍を祈ります。
日本チーム マネージャー 吉永 修
【日本チームRESULTS】
・AS-1ディビジョン 伊藤建史郎 4位
・AS-2ディビジョン 小林征郁 7位
・団体総合 日本13位
全ての試合結果はこちら↓
http://isaworlds.com/adaptive