2018 Stance ISA World Adaptive Surfing Championship 結果報告
2018 WASC 結果報告
大会名 : 2018 STANCE ISA World Adaptive Surfing Championship
開催期間 : 2018年 12月12日~12月16日
開催地 : アメリカ、 カリフォルニア州、 ラホイヤ
参加国: 24ヶ国 参加選手: 138名
日本チーム 大会参加者 :
AS1 ディビジョン:伊藤 建史郎、 山本 力也
AS1 ウィメンズ ディビジョン: 内田 一音
AS2 ディビジョン: 小林 征郁、勝倉 直道
AS4 ウィメンズ ディビジョン:鈴木しほ アシスト:和田 路子
AS5 ディビジョン: 藤原 智貴 アシスト: 山口 秀明、藤 彩夏
ASVI ディビジョン:葭原 滋男 アシスト:葭原 隆之
チームマネージャー:吉永 修、小川 文夫
チームドクター: 湯澤 斎、長沢 雅子
通訳: 大石 純也
大会成績 :
伊藤 建史郎 9位、山本 力也 13位
内田 一音 優勝
小林征郁 4位、勝倉 直道 7位
鈴木 しほ 10位
藤原 智貴 7位
葭原 滋男 12位
国別総合 8位
今回で3回目の出場となる日本チーム。選手8名、スタッフ9名、合計17名の日本チームがサンディエゴに集結。LA経由という移動が大変な行程で、車椅子の選手もいるため、飛行機の中での過ごし方が体調維持の重要なポイントでしたが、、大きく体調を崩す選手も無く、無事コンテスト会場に到着しました。
到着翌日の練習では、体調とコンテスト会場のチェック等を中心に行われ、休養をとりながら、身体を大会に向け調整。そして11日のチームチェックインには選手、スタッフが全員集合し、気分も新たに健闘を誓いました。
今回よりWomenクラスにもポイントが与えられ、男女6クラスづつ、合計12クラスの戦いになり、国別順位の争いも熾烈になってきました。しかし全クラスにエントリーしている国は無く、どの国も選手の発掘に時間がかかりそうな感じでした。
前回同様、予選ラウンドは全選手が2回のヒートをこなし、全てのライディングの中からベスト2のポイントの合計で、QF あるいはSFの次のラウンドに進めるフォーマットが取られ、予選ラウンドではヒートを勝ち抜く事よりも、いかに良い波に乗り、良い得点を出すかが重要です。
世界選手権や世界ジュニア選手権と同様に、毎日、選手スタッフ全員で夕食をとり、その後ミーティングをして、TEAM JAPANということを考えてもらい、選手自身の置かれた立場や、ヒートの臨み方など色々な意見が交わされ、日々チームがまとまっていくのが感じられました。
今回のキャプテンも、前回同様、伊藤選手にやってもらいましたが、彼の熱き思いは皆に伝わり、楽しみながらもヒートで自分のベストが出せる様に話し合っていました。
波は練習日には小さかったものの、試合が始まってからは終わるまで、大きなセットが来る、しっかりとしたコンディションをキープ。クラスによってはパドルアウトが出来ないヒートもありましたが、迫力あるライディングも見られ大いに盛り上がりました。
日本チーム8名の選手の奮闘ぶりを報告します。
Women AS4クラスに出場した鈴木選手は、まだサーフィンを始めてから間もないので、まだ水中でヘルパーに押してもらって乗る事しかできなかったのですが、現地に来てから出場するクラスがはっきりと決まり、自分自身でパドルをして波に乗るクラスにクレジット。不安な気持ちでヒートを迎えたと思います。しかし、その後のミーティングで色んな意見がなされ、乗るためにベストを尽くそうという事で、ボードの改良を行い、自身も厳しい練習をして2回目のヒートに臨みました。
幾重にもスープが押し寄せ岸からのエントリーは、鈴木選手にはとてもハードでしたが、周りのサポート陣達も頑張って、何とか1本波に乗ることが出来ました。この1本は、鈴木選手にとってどれだけ大きな1本だったかは計り知れません。ポジティブな鈴木選手は、もっと練習して、また来年もと言っていました。
この鈴木選手の応援で、日本チームはより強く一つになれた様に感じました。
AS1に出場した山本選手も1回目のヒートは、大きな波に手こずり、まともにライディングが出来ませんでしたが、皆の励ましもあり、2回目のヒートではグッドウェーブに乗り、見事予選を通過しQFに進出。レベルが高いAS1でQFに進めた事は、山本選手の自信につながったと思います。ただ、このクラスは、やはりロングボードでは少し不利なので、ボードを少し短くしての再挑戦をして欲しいと思いました。
続いてASVIクラス。目に障害のある人のクラスで、海の中で声での指示をするパートナーと一緒に戦うクラスです。このクラスに出場した葭原選手は、弟さんという心強いパートナーと組み、大きな波に果敢に挑戦しました。残念ながらSFへの進出はならず。普段コンテスト形式での練習はした事がないとの事でしたが、葭原兄弟の海と戦う姿は、見ている人達全員に感動を与えていました。
昨年のメダリストであるAS5に出場した藤原選手は、昨年同様、海の中でボードをプッシュするパートナー山口さんと共に参戦。今年はもっと上のメダルをと期待も大きかったのですが、ヒートではセットの入るタイミングに手こずり、なかなかスコアを伸ばす事が出来ず、残念ながらSFに進む事が出来ませんでした。
藤原選手自身が今年は体調が不十分で、あまり練習出来ていない状況でしたが、山口さんとのミーティングも新たに、また来年の挑戦を誓いました。
昨年のAS1のブロンズメダリストの伊藤選手は、予選ラウンドで妨害をしてしまいましたが、何とかQFへ。しかしQFでは、彼の特徴の深いボトムターンからのカーヴィングが発揮出来ず、残念ながら敗退してしまいました。予選ラウンドから緊張していた様に思え、今回は実力が発揮出来ず、悔しい敗退だったと思います。
しかし彼はチームのキャプテンとしてチームを牽引。とても素晴らしい功績です。
AS2に出場した小林選手と勝倉選手は、共に予選を通過しQFに進出しました。
勝倉選手は昨年のロングボードからショートボードに変更、よりラディカルな波乗りできる様になり、練習の成果が出ていたと思います。技術面の他、昨年と一番変わっていたのが、彼の気持ちです。諦めない姿、気持ちに皆、脱帽でした。
一方、小林選手は悲願のファイナルを目指し臨んだSFで、得意のターンを決め1位でファイナルをメイク。これは、彼のひたむきな努力と周りのサポートの賜物だと思いました。
このクラスの二人は昨年より、体力、技術、気持ちのどの部分も上回り、本当に良く頑張ったと思います。感動しました。
そしてWomen AS1クラスの昨年のチャンプの内田選手は、今年も調整をマイペースで行い、自分のリズムを崩さず、 ヒートでも常に自分のサーフィンに心がけていました。クラスの参加人数は昨年に比べ増えましたが、危なげの無い2連覇! 素晴らしかったです。
内田選手には、他の選手やスタッフの食事の事などもしてもらい、裏方としての彼女のサポートも心強かったです。
全体を通してですが、ISAは2024のフランスでのパラリンピックでサーフィンをと言っていましたが、まだまだこの大会もクラス分けや、大会のやり方、エントリー方法等の問題もあると思います。
日本チームは今回で3回目の出場でしたが、代表チームを続けて出場させていく事に意義があると思います。また日本国内での選手選考も、これから考えていかなければならないと思います。
厳しい言い方になりますが、選手個々の頑張りは認めるものの、国別順位は一つ上げての8位で、まだまだ上位の国とは差があります。もっと上を目指すのなら、選手たちのさらなる努力が必要だと思います。
しかし、日本チームには他の国にない今回の様なチームワークがあります。この事を中心に日本のアダプティブサーフィンを、選手達には先導して行って欲しいと思います。
またメダル目指して、皆で頑張っていきましょう!
最後になりますが、毎回一生懸命応援していただけるサンディエゴの日本人の皆様、サポートして頂いたスポンサー様、NSA事務局、そして日本で応援して頂いた全ての方々に感謝して報告とさせて頂きます。
ありがとうございました。
2018 WASC Team Japan 吉永 修